もりのかくれんぼう
| 「もりのかくれんぼう」 | 作:末吉 暁子 絵:林 明子 出版社:偕成社 |
秋色の不思議な男の子

○おはなし
お兄ちゃんとかくれんぼができなかった、公園からの帰り道。すねながらお兄ちゃんの後を歩くけいこに、「競争しよう」と言うと、駆け出したお兄ちゃん。慌てて後を追いかけたけいこは、生垣の根元に、お兄ちゃんの足がちょろっと引っ込むのを、見つけました。
同じように、生垣の下にもぐりこんだ、けいこの目の前に、お兄ちゃんの姿はなく、そこは見たこともない森。金色の秋の森の中に、細い道が続いています。けいこは、静かな森の中を、大声で歌いながら進んで行きました。
ちかみち ほそみち もりのみち
こわいかな、こわくない
どこまで いっても もりのなか
だあれも いない もりのみち
こわいかな、こわくない
すると、その歌に答えるような歌声が、後ろからしました。
お兄ちゃんだと思い、振り返ったけいこが、きょろきょろ声の言うままに探してみると、そこには、枝や木の葉と同じ色の男の子が立っていました。
男の子の名前は、「もりの かくれんぼう」。森の仲間たちとのかくれんぼに誘われて、けいこは大喜びです。「かくれんぼう」の誘い声にやってきた、森中の動物たちとのかくれんぼが始まりました。
最初の鬼は、けいこ。かくれんぼが得意なけいこは、張り切って探します。ところが、「もりのかくれんぼう」は、隠れ上手。おもわず笑ってしまった「かくれんぼう」の声で、ようやく見つけることが出来ました。
次は、くまさんが鬼。けいこは、「かくれんぼう」に手をひかれ、茂みの中に隠れました。静かに、息をひそめて、じっとして・・・。
いつまでも・・・。
どのくらい経ったのか、どこからか、けいこを探す変な歌が聞こえてきました。見上げると、そこにはお兄ちゃんが立っていました。
目の前には、けいこの団地がひろがっています。けいこがしっかり握っていたのは、ただの木の枝です。
けいこの団地がある場所は、以前、森だったと、お兄ちゃんが教えてくれました。森の動物たちはどこへ行ったのでしょうか?そして、「かくれんぼう」は?
きっと、どこかの森でかくれているでしょう。
そして、けいこは、きっとまた出会える気がしていました。
○KABA
公園へ行くと、桜の葉が、はらはらと舞い落ちるようになりました。だんだんと色づいて、秋めいてくるのでしょうね。この絵本の中表紙の、けいこの絵。退屈そうにベンチに座り、足をブランブラーンと揺らしています。視線の先には、舞い落ちた1枚の落ち葉。けいこの心は、その落ち葉が落ちてきた木の枝を見上げるほどにもなく、遊ぶ兄の姿を見ることなく、面白くない時間の中にいます。そんなけいこに起こった心躍るストーリー。
この絵本は、KABAの大好きな1冊です。お話は、「ざわざわ森のがんこちゃん」でおなじみの末吉 暁子さん。以前読んだ末吉 暁子さんのインタビュー記事の中で、出版社勤務時代に、担当していた佐藤さとるさん(佐藤さとるさんの絵本「行って帰って星から星へ」をこちらのページで紹介しています。)に薦められて、お話づくりをするようになったと、書いてありました。この絵本。その佐藤さとるさんに通じるものを感じます。誰でも出会えるわけではない不思議な存在。それは、佐藤さとるさんのコロボックルに通じる、ファンタジーと思います。
森の入り口のページ。
きんいろに けむったような あきのもりです。
林明子さんの描く森は、末吉 暁子さんのこの一文そのままですよねー。息苦しいほどに金色に包まれた森。そんな中で楽しむかくれんぼ。
動物たちも一体どこに隠れているのやら、最初は、気配を感じるのも難しい。次のページを見てから、再度挑戦なんてことも。「かくれんぼう」は、見つけても、手の位置、足の位置を確認するのが難しい。
こういったかくれんぼ絵本は、初めて開いてみたその時が、一番楽しめますよねー。みつけられるかなーってドキドキ感が味わえて。ただ。この絵本は、それにプラスされたストーリーと絵の魅力にひかれて、何度も、手に取りたくなるんです。
| *リンクな絵本やグッズたち* この絵本に関連するものや、タイトルをキーワードに他の絵本を紹介します。 |
○ 「もりのかくれんぼう ビックブック」 が、あります。かくれんぼ探しも大勢で楽しむなら、こちらがぴったり。
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