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動物会議

「動物会議」エーリヒ・ケストナー 作
イェラ・レープマン 原案
ヴァルター・トリアー 絵
池田 香代子 訳
- 岩波書店

だらだら話し合うより、出来ることがあるyeah.gif


○おはなし
 第2次世界大戦後、各国の首脳たちは世界平和のために何度も国際会議を開くが、話し合いは決裂に終わってばかり。

 北アフリカのチャド湖のほとりで、ライオンのアーロイスと、象のオスカル、キリンのレーオポルトは、そんな人間たちを憂いでいた。
 『子どもたちのために』するべきことは、そんな話し合いではないはずだ。

 象のオスカルは考えた。「動物会議を開こう」
それぞれの動物の代表が選ばれ、動物ビルに集合し、会議を開くのだ。自分たちなら、ちゃんとした会議が開けるはず。
 
「今日からきっかり4週間後、動物ビルで会議があるぞ」
連絡係によって、この内容は伝わった。町や村を。森を林を。荒野を草原を。そして北極を。沼や池も、駆け巡った。
 空では、ツバメが電線を使って連絡した。伝書鳩が首に小さなカプセルを下げて飛んだ。
 オーストラリアでは、カンガルーがおなかのポケットに手紙を入れてジャンプした。
 海底では、タコが墨を吹いて水中に字を書いて知らせた。
 カブトムシやテントウムシ、カエルにも伝わった。
 のんびり屋のカタツムリにも伝わりそれを聞いたミミズのフリードリーンが、地球の反対側の動物に知らせようと土の中に潜っていった。

 どれぞれの動物の代表が、蒸気機関車、汽船、クジラ、飛行機に空飛ぶ絨毯に乗って動物ビルを目指していった。
 北極の動物たちは氷山に乗って行ったが、あいにく氷山が溶け始め、危うくのところを捜索機に発見された。
 
 世界一ヘンテコな世界一大きな動物ビルに、次々と動物たちがやってきた。動物会議は、87回目を数える国際会議と同じ日。そして、最初で最後の動物会議だ。

 『子どもたちのために!』と書かれた幕を掲げ、動物会議は始まった。その様子は国際会議室に中継されていた。
「国々の境を飛び越えてください」白クマのパウルの発言を良しとはせず、人間は、プンプンミュラー将軍によって動物会議に抗議文を出した。「口出しをするな」と。

 どうすればいいか。名案は、ミッキーマウスによって出された。
 次の朝。国際会議が開かれているケープタウンの大会議場にたくさんのネズミが押し掛け、書類という書類を残らずズタズタにした。
 ライオンのアーロイスは言った。
「書類があなた方の分別の妨げとなっていたのだから。『子どもたちのために』」

 しかし、すべての書類はプンプンミュラー将軍によって、コピーしたものが届けられた。プンプンミュラー将軍はプンプンミュラー元帥となった。

 動物たちはうんうん考えた。「問題は書類と制服を着た連中だ」そこでカンガルーのグスタフが思いついた。

 会議3日目の朝。ケープタウンの大会議場に洋服を食べるガの一種、イガの大群が押し寄せた。軍服の人々は、プンプンミュラー元帥も、制服を食べられ、とんでもない格好になった。世界中の制服が無事ですまなかった。イガは、世界中に飛んだのだ。

 しかし人間は動物たちの要求を断固拒否した。

 会議4日目の朝。とんでもないことが人間に起こった。すべての子供が、地上からいなくなったのだ。ケープタウンの会議場の前には絶望した人たちが詰めかけた。
 象のオスカルが声明を発表した。
「子どもたちの未来を政治家に任せられない。『子どもたちのために』子どもの未来をぼくたちが引き継ぎます。政治家たちが分別ある政治をすると約束しない限り、親は子供たちに会えないでしょう。」

 政治家たちは、オスカルたちの出した制限時間ぎりぎりに、条約に調印した。

 

「われわれ、地球のすべての国の責任ある代表者は、生命財産にかけて、以下ことを実行する義務をおう。
1 すべての国境の標識を警備兵は、これを排除する。もはや国境は存在しない。
2 軍隊およびすべての銃や爆弾は、これを廃棄する。もはや戦争は存在しない。
3 秩序維持のために不可欠な警察は、弓や矢を武器とする。警察は主に、科学と技術が平和のためにのみもちいられるよう,これを監視する。もはや人殺しのための科学は研究されない。
4 役所、役人および書類保管庫は、どうしても必要な最小の数にまでこれを削減する。役所は人間のためにある。その逆ではない。
5 これからは、教師が、最も高いっ有料を受けるものとする。子どもを真の大人に育てるというのは、もっとも崇高な、もっとも困難な任務である。真の教育の目的は、つぎの点にある。すなわち、よくないことをだらだら続ける心が、もはや存在しないようにすることである!」


 すべての国境も標識が取り払われた。すべてのこどもたちが、帰ってきた。『子どもたちのために』行われた動物会議は成功のうちに終わった。

 これで話はおしまい?いえ、忘れてならないミミズのフリードリーン。会議終了の次の日、やっと、地球の反対側の南オーストラリアの砂漠に出た。
 「今日からきっかり4週間後、動物ビルで会議があるぞ」そう叫んだが。聞きつけたバッタが言った。
 「会議はとっくに終わったよ」
そのままフリードリーンは、また土に潜った。地球の反対側の家に帰るために。


○KABA
 絵本というには、とても文章が長いです。最近よく読んでいる幼年童話に比べても、はるかに長い。児童書を読むように、何回かに分けて、長男クンに読みました。難しいかなーと思ったのですが、そこは、ケストナーの力。ところどころに散りばめられたユーモアにクスリと笑いながら最後まで聞いていました。

 1949年。まだ第2次世界大戦が終わってすぐのころに描かれたお話です。戦後の子どもの心に栄養を与えるためにはいい本を、そう考えたイェラ・レープマンの原案をもとに描かれたこのお話に出てくる条約の中身、そのまま引用しています。結構長いんですが、これ、よくできていますよねー。読めば読むほど、なるほど、と納得。

 国境は、今だに争いの種。世界地図は、その地図を作られた国によって国境が違って書かれているそうです。どの国の領土か、その土地の住人が決めることができたらいいのに。
 兵役があるのが、今だ当たり前の国々。自衛隊は、軍隊と同じではないはず。でもその役割を担っている。
 核兵器。これを持つのが国の強さなのか。これを持つことが安心なのか。憲法第9条は解釈の方法でどうとでも取れるものなのか。
 教師の資格に更新制がとられるようになった。それだけでいいのか。『子どもたちのために』教師の適格者とは?今だ問題だ。

 そう。会議を開いていれば、何とか解決しようとしているように見えるだろう・・・そーんなとこって政治にはありますよねー。自分の名誉、肩書(ここではその象徴が制服でした)にこだわって。まどろっこしい書類ばかりが増えていく。

 なーんだ。この絵本が出た当時と今も、てんで変わらない世の中。だらだらと、同じことを繰り返しているんですよねー。


 いろんなことを考えさせられるこの絵本。でも。重ーい雰囲気ではないのは、随所にあるユーモア。そしてトリアーの絵があるからでしょうね。
 人間の滑稽さ、動物たちの感情あふれる表情、そのユニークな場面がトリアーの絵から実に伝わってきます。
 そういった面では、小学低学年の長男クンも楽しめる絵本です。
 でも、平和学習なんかをしている小学高学年には、特にお勧めではないかなーって思いました。



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